IPv6・センサネットワーキングコンソーシアム
IPv6・センサネットワーキングコンソーシアムセミナー/パネルディスカッション
市場を拡大するか?ネットワークを活用した
『センサデータ・シェアリング』のアプリケーション
日時:2009年4月8日:15:55〜17:00 場所:東京ビッグサイト会議棟101会議室
 センサエキスポジャパン2009では、コンソーシアムとして標記のテーマでパネルディスカッションを行いました。メンバーは以下の通りです。

コーディネータ:
IPv6・センサネットワーキングコンソーシアム運営委員
株式会社ユビテック 代表取締役社長 荻野 司[プレゼンダウンロード]

パネラ:
東京大学先端科学技術研究センター 教授 森川 博之氏
財団法人東京都環境整備公社 東京都環境科学研究所 藤原 孝行氏
日産自動車株式会社 プログラム・ダイレクターオフィス
カーウイングス担当主管 野辺 継男氏
パナソニック株式会社 ユビキタスセンシンググループ
開発第一チーム チームリーダー 伊藤 快氏

 まず、伊藤パネラよりセンサ・アプリケーションに関するプレゼンが行われました。総務省の委託研究「ユビキタス・プラットフォーム技術の研究開発」として、北海道岩見沢市のご協力のもと、高齢者を対象とした福祉ケア実証実験を行ったもので、高齢者の方々にアクティブタグ(識別信号を発信する超小型の装置)を持ち歩いていただき、健康のために毎日歩いているか、今どこにいるかなど、高齢者の支援者の方々が遠隔からでも確認できるサービスを提供されたそうです。これにより、高齢者本人のメリットの明確化、プライバシーに関するルール作り、コスト負担などの課題が明らかになったそうです。
次に、荻野コーディネータより、3つの講演および伊藤パネラのプレゼンを整理した上で、センサデータ・シェアリングに関するプレゼンが行われました[ダウンロード]。ここでは、ビルや家庭、自動車などの各分野で収集・蓄積されているセンサデータを組み合わせることで新しいアプリを実現する可能性とそのための検討の必要性が挙げられています。

 この後、荻野コーディネータより、「取る」、「繋ぐ」、「貯める」、「使う」の4つのキーワードの中で課題となる点について、各パネラに問いかけがありました。森川パネラからは「使う」ことが課題であり、ユーザのうれしさをクリアにすることが難しいこと、藤原氏は「貯める」ことが課題であり、データを蓄積するサーバの構造を決めることが難しいことが挙げられました。また、野辺パネラからは「繋ぐ」ことが課題であり、Bluetoothの互換性の弱さや、自動車の場合は時間の経過で通信方式が変わってつながらなくなる可能性があること、伊藤パネラからは「取る」ことが課題であり、人の行動データを収集する際に対象者本人や周囲に映る他人のプライバシーを侵害する危険性があることが挙げられました。このように、4人のパネラから「取る」、「繋ぐ」、「貯める」、「使う」のすべてが課題として挙げられました。
ここで荻野パネラより、アプリケーションを作る側がセンサデータを集めたり、センサデータの書式を気にしなくてもよいプラットフォームの構築やセンサデータのオープン化について意見が求められました。これに対して森川パネラからは、標準的なプラットフォームを作ってみんなが合わせるのではなく、先にデータを集めた企業が中心になるのではないか、自社で集めたり、他社と連携してデータを集め、他社にも使わせることで色々な企業が集まってくるのではないかとの意見が出されました。藤原パネラからは、異なる企業からデータを集める場合のルール作りが課題になることを経験から紹介されました。

 次に、荻野コーディネータより、データを持っている企業に対する公開ニーズはあるが、企業の方はメリットがないとデータを出さない、これをどうするかという問いかけが出され、森川パネラから、商業データについては出すことは容易ではないが、ネットワークを構成する通信キャリアが核となってデータを収集、提供する枠組みも考えられるとの意見が出されました。
また、荻野コーディネータから野辺パネラに、自動車のデータを他社に使わせられるかという問いかけがあり、野辺パネラより、自動車がセンシング可能なデータの内、交通情報や天気情報等を生成する「生データ」そのものは、クルマ自体の競争力を直接左右する可能性が少なく、データは多いほど最終的な情報の正確性が増すので、将来的にはメーカー同士でシェアする考え方もあり得る、ただしユーザからもらったデータを他の事業者とシェアする場合には、個々のユーザから同意を得るなどの対応が必要、との意見がありました。伊藤パネラからは、ユーザからのデータ収集について、匿名性を保ったままシェアしたり、問題が発生した際の責任主体を明確化することが重要との意見も出されました。
ここで、コンソーシアム事務局から、センサデータ・シェアリングに関するコンソーシアムの活動について紹介が行われました。また、荻野コーディネータより、ユビテックが取り組んでいるBX-Officeの紹介が行われました。BX-Officeの動画では、ビル設備とオフィス機能がデータ連携することでテナントがオフィス向けサービスを容易に構築することができ、センシング機能により、予約していない会議室に入った人や、予約しているのに使っていない会議室をチェックする機能などが紹介されました。
荻野コーディネータから、どこにどのようなセンサデータがあり、どのように収集するかといった情報の共有化について問いかけがあり、野辺パネラからは、センサデータはふんだんにあり、アプリが期待されるが、そのデータを収集してよいかを確認すること、およびそれを対象者に説明して理解いただくことが重要であり、その両方を理解をできる技術者がいないという課題が指摘されました。藤原パネラからは、学校で生徒が音楽室などに移動したら空いた教室の空調を止めてよいはずであるが、実際に測定してみると実際に使っている教室の2倍も空調が動いていたという事例が紹介され、時間割やセンシングに基づいた空調コントロールによる省エネの期待が挙げられました。伊藤パネラからは、プレゼンで紹介したサービスでは高齢者にタグを持っていただくしくみになっているが、持っている本人に何かをフィードバックして喜んでもらうしくみがないと持ち歩いてもらえないという、データ収集対象者のメリットの必要性が挙げられました。
さいごに森川パネルよりまとめとして、センサデータには環境系のデータと人間系のデータがあり、前者が扱いやすいが、後者については時間をかけて行う必要があること、またセンサデータのアプリケーションはなかなか立ち上がらないが、最近は少しずつ色々なところで目が出始めているので、スポンサーを説得しやすい、一言で誰でもメリットが分かるような説明をみんなで考える必要があることが挙げられました。

 以上のように、センサデータ・シェアリングの実現は、共通プラットフォームやデータの標準化によるアプローチだけでなく、とにかく先に集めて提供を始めることで仲間を増やすというアプローチがあること、省エネや安心・安全、自動車、ビル−オフィス連携など、様々なニーズが生まれてきているが、「取る」、「繋ぐ」、「貯める」、「使う」のすべての段階において課題がありことが明らかになりました。コンソーシアムでは、今後も早急に、センサデータ・シェアリングの実現に向けて検討を行っていきますので、注目いただけますと幸いです。
以上
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